「formrunで管理している顧客情報を、会計ソフトに手入力で転記している…」
「弥生会計とは別に、Excelで請求書を作っているから、売上計上が二度手間で面倒…」
「SaaSを導入したのに、結局ツール間でコピペ作業が発生していて、本当に効率化できているか疑問だ…」
これは、複数のSaaSを導入し始めた中小企業が陥りがちな、非常に危険な「サイロ化」という罠です。SaaS導入の真の価値は、個々の業務がわずかに効率化されることではありません。その本質は、SaaS間でデータを「連携」させ、業務プロセス全体を自動化し、「二度手間」を撲滅することにあります。そして、その自動化の中心(ハブ)となるのが、全ての経営データの最終目的地である「会計ソフト」です。
この記事では、単なるツールの紹介ではありません。「バックオフィスのDX」の完成形を目指す経営者・担当者に向けて、`freee会計
` `マネーフォワード
` `弥生`の3大会計ソフトをハブとして、他のSaaS(請求書発行、顧客管理、資金繰り)と、いかにしてデータを連携させるか。その具体的な手法と、連携によって得られる生産性向上のインパクトを、プロの視点で徹底解説します。
【基本理解】「API連携」と「CSV連携」- 決定的な違いとは?
SaaS連携には、大きく分けて2つのレベルがあります。この違いを理解することが、SaaS選定の第一歩です。
| ① API連携 (自動連携) | ② CSV連携 (手動連携) | |
|---|---|---|
| 仕組み | プログラム同士がインターネットを通じて、自動でリアルタイムにデータをやり取りする。 | 一方のソフトからデータをCSVファイルとして出力(エクスポート)し、もう一方のソフトに手動で取り込む(インポート)する。 |
| メリット | ・一度設定すれば、完全に放置できる ・リアルタイムでデータが反映される ・人的ミスが介在する余地がない |
・多くのソフトが対応している ・連携(インポート)前に、Excelなどでデータを加工・修正できる |
| デメリット | ・両方のソフトがAPI連携に対応している必要がある | ・毎月、手動での作業が発生する ・CSVのフォーマットを合わせる作業が初回に必要 |
理想は「API連携」ですが、それができない場合でも「CSV連携」ができれば、手入力による転記作業よりはるかに効率的で正確です。
【ハブの選択】3大会計ソフトの「連携思想」の違い
どの会計ソフトをハブに据えるかで、連携できるSaaSや、連携のスムーズさが変わってきます。
freee会計:「一体型」思想によるシームレスな連携
`freee会計
`は、会計だけでなく、請求書発行、経費精算、給与計算、勤怠管理といったバックオフィス業務の多くを、最初から一つのシステム内で完結させる「一体型」の思想が特徴です。そのため、`freee`の内部機能(例:freeeの請求書機能)との連携は、当然ながら完璧です。また、外部SaaSとのAPI連携にも積極的です。
マネーフォワード クラウド:「連携型」思想による広大なエコシステム
`マネーフォワード
`は、会計、請求書、経費、勤怠、給与といった各SaaSが、それぞれ独立した専門ツールとして高い完成度を誇り、それらがAPIで強力に連携する「連携型(ベスト・オブ・ブリード)」の思想です。MFクラウドシリーズ内でのAPI連携は完璧な上、「MFクラウド App Market」を通じて、非常に多くの外部SaaSとのAPI連携を実現しています。
弥生シリーズ:「堅実型」思想と、特定の強力な連携
`弥生`は、会計ソフトとしての堅実性を重視し、API連携には比較的慎重でした。しかし、`Misoca(みそか)
`(請求書ソフト)や`弥生給与 Next`といった自社グループ製品との連携は「スマート取引取込」を通じて強力にサポートしています。**弥生シリーズで固めることで、特定の業務フローを低コストで効率化できます。
【実践ガイド】業務別・SaaS連携で「二度手間」を撲滅する
1. 請求書発行 → 会計ソフトへの連携
【課題】Excelで請求書を作成し、その内容を会計ソフトに手入力で転記している。
【削減工数(試算)】1件あたり5分。月50件の請求書があれば、月間250分(約4.2時間)の工数削減。
- 弥生ユーザーの最適解:`Misoca(みそか)
`を導入する。`Misoca`で発行した請求書データは、「スマート取引取込」機能を通じて、`やよいの青色申告オンライン`や`弥生会計オンライン`に、ほぼワンクリックで仕訳データとして連携できます。 - freee / MFユーザーの最適解:`freee会計
` `マネーフォワード クラウド請求書`本体に付属している請求書発行機能を使う。作成した請求書は、100%自動で会計帳簿に「売掛金」として計上されます。
2. 問い合わせ(顧客管理) → 会計ソフトへの連携
【課題】`【formrun】
`で管理している問い合わせが受注に繋がったら、その顧客情報を会計ソフトの「取引先マスタ」に手入力で登録し直している。
- 最適解(CSV連携):`【formrun】
`の有料プラン(STARTERプラン以上)では、問い合わせデータをGoogleスプレッドシートにリアルタイムで自動出力できます。また、顧客情報をCSVファイルとしてエクスポート(出力)することも可能です。このCSVファイルを、`freee`や`マネーフォワード`が指定する「取引先インポート」の形式に一度合わせれば、何百件の顧客情報でも一括で会計ソフトに登録でき、転記ミスを防げます。
3. 資金繰り(ファクタリング) → 会計ソフトへの連携
【課題】`PAYTODAY`でファクタリングを利用し、売掛金を早期現金化した。しかし、その際の「手数料」や「入金額」の会計処理(仕訳)が分からない。
- 最適解(手動だが必須):これはSaaS連携以前の問題として、正しい会計処理が必須です。例えば、100万円の売掛金を`PAYTODAY`で現金化し、手数料が5万円だった場合、以下のような仕訳を`freee`や`マネーフォワード`で行う必要があります。
(借方)普通預金 950,000 / (貸方)売掛金 1,000,000
(借方)支払手数料 50,000 /
ファクタリングサービスと会計ソフトを連携させることで、この処理が自動化されるのが理想ですが、現状は、会計ソフトの「かんたん取引入力」機能などを使って、この仕訳を手動で登録するのが現実的です。`PAYTODAY`で得た資金繰りのメリットを、会計に正しく反映させることが重要です。
結論:まずは「会計ソフト」をハブとして定めよ
バックオフィスDXの第一歩は、データの最終目的地である「会計ソフト」を`freee会計
`, `マネーフォワード
`, `弥生`の中から、自社の思想に合うものに決定することです。そして、次なるステップとして、請求書発行、顧客管理、勤怠管理といった「スポーク(周辺業務)」のSaaSを導入する際に、**「そのSaaSは、うちの会計ソフトと連携できるか?」**という視点を必ず持つこと。これが、SaaSの導入効果を最大化し、「二度手間」のない、真に効率的なバックオフィスを構築するための、唯一にして最短の道筋です。
API連携とCSV連携、中小企業にはどちらがおすすめですか?
理想はAPI連携です。リアルタイム性と自動化のレベルが全く違います。freeeやマネーフォワード クラウドのシリーズ製品(例:MF会計とMF請求書)は、標準でAPI連携されており、最高の効率化体験を提供します。一方で、コストを抑えたい場合や、API連携に対応していないツール間を繋ぐ場合は、CSV連携でも手入力に比べれば遥かに効率的です。
連携させるSaaSのメーカーは、揃えた方が良いですか?
その傾向が強いです。例えば、会計ソフトが「弥生」なら、請求書は「Misoca」を選ぶ。会計ソフトが「freee」なら、給与計算も「freee人事労務」を選ぶ。このようにメーカーを揃えることで、データ連携のスムーズさが保証されるため、SaaS導入の失敗リスクを最小限に抑えることができます。
API連携の設定は、専門知識がなくてもできますか?
はい、freeeやマネーフォワードが公式に連携しているSaaS(例:formrunなど)であれば、専門知識は不要です。多くの場合、両方のサービスにログインした状態で、画面上の「連携する」ボタンを押し、許可するだけで設定が完了します。プログラミングの知識などは一切必要ありません。
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