【人事・労務のプロ向け】給与計算ソフト徹底比較|月15万円の”見えないコスト”と属人化リスクを解消

給与計算

「社会保険料率の改定、また見落としそうになった…」
「従業員ごとの残業代や手当の計算が複雑すぎて、毎月不安…」
「年末調整の書類回収とチェックだけで、1ヶ月が終わってしまう…」

給与計算は、バックオフィス業務の中でも最もミスが許されない、極めて専門性の高い業務です。計算ミスは従業員の信頼を直接損ない、法改正への対応漏れは追徴課税などの経営リスクに直結します。Excelでの手計算や、古いインストール型のソフトでは、これらのリスクに完全に対応し続けることはもはや不可能です。

この記事では、人事・労務担当者および経営者の視点から、旧来の給与計算が抱える3つの致命的なリスクを分析。その上で、これらのリスクを完全にカバーし、業務を自動化する給与計算SaaSの選び方を、プロが重視する3つの専門軸で徹底比較します。

【コスト試算】Excelでの給与計算が抱える月15万円の”見えないコスト”

まず、SaaS導入の価値を判断するために、現状のExcel運用にどれだけのコストがかかっているかを正確に把握しましょう。

  • 企業形態:従業員20名(正社員15名、アルバイト5名)のWeb制作会社
  • 勤怠管理:Excelのタイムシートで自己申告
  • 担当者:人事・労務担当者1名
  • 担当者の時給換算:2,800円(専門職)

手作業による月間総コスト:人件費だけで15万円超え

作業プロセス 月間作業時間 人件費 潜在リスク
① タイムシート回収・督促・チェック 10時間 28,000円 打刻漏れ、計算ミス
② 残業・深夜・休日労働の集計 15時間 42,000円 割増率の計算ミス
③ 税金・社会保険料の計算・確認 10時間 28,000円 保険料率の更新漏れ
④ 給与明細作成・配布 5時間 14,000円 誤配布、記載ミス
⑤ 振込データ作成・会計仕訳入力 10時間 28,000円 金額の転記ミス
⑥ 書類ファイリング・保管 5時間 14,000円 紛失、検索性の低下
合計 55時間 154,000円 属人化・事業継続リスク

この試算では、**月間55時間、人件費だけで154,000円**ものコストが発生していることが分かります。これは、担当者の人件費のみであり、計算ミスによる修正対応や、法改正の調査時間といった**”見えない時間”**は含まれていません。

【プロの視点】2大SaaSを3つの戦略軸で徹底比較

SaaSを導入すれば、これらのコストは劇的に削減できます。しかし、どのSaaSを選ぶべきか。ここでは、単なる機能比較ではなく、企業のIT戦略や組織文化にも関わる3つの戦略軸で「マネーフォワード クラウド給与」と「freee人事労務」を比較します。

比較軸1:システム思想(「連携型」のMF vs「一体型」のfreee)

これは、バックオフィス業務全体の設計思想に関わる最も重要な違いです。

  • マネーフォワード クラウド(連携型)「給与」「勤怠」「会計」「経費」といった各SaaSが、それぞれ独立した専門ツールとして高い完成度を誇ります。それらをAPIで強力に連携させることで、全体の最適化を図る思想です。各分野でベストな機能を求める、専門性を重視する企業に適しています。
  • freee(一体型)会計帳簿をデータベースの中心に置き、勤怠・給与・経費といった全ての業務が、そのデータベースを直接更新していく思想です。業務間のデータの流れが極めてスムーズで、**バックオフィス業務全体のシンプルさとシームレスな体験を最優先する企業**に最適です。

比較軸2:法改正・コンプライアンスへの対応力

担当者が最も神経をすり減らす、複雑な計算と法改正への追従能力を比較します。

  • マネーフォワード クラウド給与社会保険の算定基礎届や労働保険の年度更新といった、年に一度の複雑な手続きの自動化に強みを持ちます。帳票作成能力が高く、行政への電子申請(e-Gov連携)もスムーズです。労務手続きの正確性と網羅性を重視するなら、非常に信頼性が高い選択肢です。
  • freee人事労務毎月の給与計算における税金・社会保険料の自動計算はもちろん、法改正があった際のクラウドアップデートが迅速です。担当者が意識せずとも、常に最新の法令に準拠した計算が行われる安心感があります。日々の運用の手間を極限まで減らしたい場合に強みを発揮します。

比較軸3:従業員体験(EX)とセルフサービス

従業員自身が操作することで、結果的に労務担当者の負担を減らす機能です。

  • マネーフォワード クラウド給与年末調整の申告機能が非常に洗練されています。従業員がスマホの質問に答えるだけで、生命保険料控除などの複雑な計算が自動で完了します。回収状況の進捗管理も一覧で可視化でき、担当者の督促業務を大幅に削減します。
  • freee人事労務Web給与明細の見やすさと、従業員自身による入社手続き(住所や口座情報の登録)機能が特徴です。従業員からの「給与明細を再発行してほしい」「住所変更をお願いします」といった問い合わせ対応から担当者を解放します。

結論:自社の組織とバックオフィス戦略で選ぶ

  • マネーフォワード クラウドがおすすめな企業:
    バックオフィスに専任の担当者が複数名おり、各業務で高い専門性を求める企業。管理会計を重視し、詳細なデータ分析を行いたい成長企業。
  • freee人事労務がおすすめな企業:
    経営者や兼任担当者がバックオフィスを回しており、全体のシンプルさと自動化を最優先したい企業。簿記や労務の知識に自信がなくても、ミスなく運用したいスタートアップ・中小企業。

給与明細は紙で印刷できますか?

はい、どちらのサービスも給与明細をPDFで出力し、印刷することが可能です。しかし、SaaSの大きなメリットは「Web給与明細」機能です。従業員はスマホやPCからいつでも自分の給与明細を確認でき、印刷・封入・配布という経理担当者の手間を完全にゼロにできます。

社会保険の手続き(算定基礎届など)も電子化できますか?

はい、対応しています。SaaS上で計算された報酬月額を基に、算定基礎届や月額変更届といった書類を自動で作成し、e-Gov(電子政府の総合窓口)と連携して電子申請まで行うことが可能です。役所に出向く必要がなくなります。

導入後、過去の給与データを入力する必要はありますか?

必須ではありませんが、年末調整を正しく行うためには、その年の1月以降の給与データを入力(インポート)することが推奨されます。多くのSaaSでは、過去データを取り込むためのCSVテンプレートが用意されており、比較的スムーズに移行が可能です。

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