【年末調整SaaS比較】freee・MF・弥生給与Next、従業員Web申告機能で工数9割削減へ

年末調整

「11月になると、従業員全員に紙の申告書を配るのが憂鬱だ…」
「回収した保険料控除申告書の、証明書の添付漏れや計算ミスを、一件一件チェックするのが地獄…」
「集計した内容を、給与計算ソフトに手入力で転記する作業で、毎年必ず残業が発生する…」

これは、従業員を雇うすべての企業・個人事業主が、年に一度必ず直面する「年末調整」という名の巨大な壁です。前回の記事「【初心者向け】年末調整の「やることリスト」完全ガイド」で、その膨大なタスクリストをご覧いただきましたが、その**最大のボトルネックは、間違いなく「紙の書類の回収・チェック・転記」**という、アナログな作業にあります。

この記事では、その根本的な課題を解決する「切り札」である、給与計算SaaSの「従業員Web申告機能」に焦点を当てます。`freee人事労務` `マネーフォワード クラウド給与` `弥生給与 Next`の3大SaaSが、このプロセスをいかに自動化し、担当者の工数を9割削減するのか。その具体的な機能と、自社に最適なSaaSの選び方を、プロの視点で徹底比較します。

【定量的根拠】紙の年末調整が産む「月5万円超」の見えないコスト

まず、SaaS導入の価値を判断するために、現状の「紙ベース」の運用にどれだけのコストがかかっているかを可視化しましょう。

  • モデルケース:従業員20名の小規模法人
  • 担当者:経理担当者1名
  • 担当者の時給換算:2,500円

手作業による「書類回収・チェック・転記」の総コスト

作業プロセス(アナログ) 内容 想定作業時間 人件費換算
① 書類配布・回収・督促 扶養控除申告書、保険料控除申告書などを印刷・配布し、未提出者に督促する。 5時間 12,500円
② 回収書類のチェック 全従業員分の申告書の内容(扶養家族情報、保険料の計算など)と、証明書原本を一件一件、目視で突合・確認する。 10時間(1人30分) 25,000円
③ 給与ソフトへの手入力 チェック済みの控除額などを、給与計算ソフトに手作業で転記する。 5時間(1人15分) 12,500円
合計   20時間 50,000円

この試算では、**たった20名の従業員**の年末調整対応だけで、**20時間(人件費換算で5万円)**もの膨大な工数が、「紙の書類のやり取り」という非生産的な作業に奪われていることが分かります。SaaSの「従業員Web申告機能」は、この**工数の9割以上を削減**できます。

【プロの視点】年末調整SaaS 3大機能比較

`freee` `マネーフォワード` `弥生給与 Next`は、いずれも年末調整の自動化に対応していますが、その中核となる「従業員Web申告機能」の使い勝手や、関連機能に違いがあります。

比較軸 freee人事労務 マネーフォワード クラウド給与 弥生給与 Next
従業員Web申告
(スマホ・PC)

(スマホ・PC)

(スマホ・PC)
申告の操作感 対話型・質問形式
(初心者でも迷わない)
TODOリスト型
(進捗が分かりやすい)
シンプル・項目入力型
(迷わせない画面)
証明書アップロード ○(写真撮影) ○(写真撮影) ○(写真撮影)
管理者のチェック Web上で完結 Web上で完結 Web上で完結
年税額の自動計算 ○(完全自動) ○(完全自動) ○(完全自動)
法定調書・給与支払報告書 ○(自動作成) ○(自動作成) ○(自動作成)
電子申告(e-Tax/eLTAX) ○(直接送信可) ○(直接送信可) ○(連携ソフトが必要な場合あり)

freee人事労務:「対話型」で、従業員の入力を徹底サポート

`freee`の最大の特徴は、従業員側の入力画面が**「はい」「いいえ」で答えるだけの、対話型(ウィザード形式)**になっている点です。「今年、結婚しましたか?」「生命保険料を支払いましたか?」といった質問に答えていくだけで、必要な申告項目が自動で入力されます。従業員のITリテラシーに不安がある場合でも、入力ミスや問い合わせを最小限に抑えることができます。

freee会計

マネーフォワード クラウド給与:「TODOリスト型」で、管理者の進捗把握が容易

`マネーフォワード`は、従業員側の分かりやすい入力画面はもちろん、**管理者側の「進捗管理ダッシュボード」**が非常に優秀です。「従業員20名中、15名が申告書提出済み」「3名が確認中」「2名が未着手」といった状況がリアルタイムで可視化されます。未提出者への催促メールも一括で送信でき、担当者の管理工数を大幅に削減します。

マネーフォワード

弥生給与 Next:シンプルさと「会計連携」の強み

`弥生給与 Next`は、上記2社に比べて機能はシンプルですが、「年末調整」に必要な機能はすべて網羅しています。従業員が迷わず入力できるシンプルな画面を提供し、もちろん年税額の計算も自動です。最大の強みは、`弥生会計`とのスムーズな連携。年末調整の結果(未払法人税等)を、**ボタン一つで`弥生会計`の仕訳として取り込める**ため、`弥生`ユーザーにとっては、最も低コストで、最も効率的な選択肢となります。

弥生給与 Nextはこちら

結論:年末調整は「SaaSで自動化」が、もはやスタンダード

年末調整は、法律で定められた義務であると同時に、年に一度の、最も非効率なアナログ業務の象徴でした。しかし、SaaSを活用すれば、この業務は**「従業員がスマホで入力し、担当者がボタンを押すだけ」**の、シンプルなプロセスに変わります。

これにより削減できる**数十時間の工数(数万円の人件費)**と、**計算ミスによる税務リスクの回避**を考えれば、月額数千円のSaaS利用料は、コストではなく、極めて合理的な「投資」です。自社の会計ソフトとの連携性を考慮し、最適なSaaSを選び、今年こそ「紙の年末調整」から卒業しましょう。

従業員がスマホを持っていない、またはWeb申告を嫌がった場合はどうなりますか?

SaaSを導入した場合でも、従来の紙の申告書での提出と併用することが可能です。その場合、Webで提出した従業員のデータは自動で取り込まれ、紙で提出した従業員のデータだけを管理者が手入力する、というハイブリッドな運用になります。

年の途中で入社・退職した従業員の年末調整はどうなりますか?

年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象外です(退職時に源泉徴収票を発行します)。年の途中で入社した人は、年末調整の対象となりますが、その際に「前職の源泉徴収票」を提出してもらう必要があります。SaaSでは、前職分の給与や源泉徴収税額を入力する欄も用意されています。

freeeやMFの会計ソフトだけを使っていても、年末調整機能は使えますか?

いいえ、年末調整の機能(特に従業員Web申告機能)は、「freee人事労務」や「マネーフォワード クラウド給与」といった、「給与計算」のSaaSに含まれる機能です。会計ソフトとは別契約(または上位プラン)になることが多いため、ご注意ください。

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