「今年初めて従業員を雇ったけど、年末調整って何から始めればいいの?」
「12月は忙しいと聞くけど、具体的に、いつまでに、何を終わらせればいいんだろう…」
「扶養控除申告書?法定調書?書類が多すぎてパニックになりそう…」
これは、初めて年末調整の担当者になった方や、初めて従業員を雇った個人事業主が抱える、共通の悩みです。年末調整は、従業員の1年間の所得税を正しく計算し、国に報告するための、非常に重要でミスが許されない業務。しかし、そのプロセスは複雑で、期限も厳格に定められています。
この記事では、そんな初心者の不安を解消するため、年末調整の膨大な業務を「やることリスト」として、3つのフェーズ(11月・12月・1月)に分けて時系列で徹底解説します。この記事のスケジュール通りに進めれば、初めてでも慌てず、ミスなく年末調整を乗り切ることができます。さらに、この面倒な作業を「自動化するSaaS」や「専門家に丸投げする」という、現代的な解決策までをプロの視点でご提案します。
【全体像】年末調整の3つのフェーズとスケジュール
年末調整は、大きく分けて「①準備・回収」「②計算・精算」「③作成・提出」の3つのフェーズで進みます。
| フェーズ | 時期 | 主なタスク | キーワード |
|---|---|---|---|
| フェーズ1:準備・回収 | 11月上旬~12月上旬 | 従業員への書類配布・回収、情報の確認 | 「紙」との戦い |
| フェーズ2:計算・精算 | 12月中旬~下旬 | 年税額の計算、還付・徴収の実施 | 「計算」との戦い |
| フェーズ3:作成・提出 | 1月上旬~1月31日 | 法定調書・給与支払報告書の作成・提出 | 「期限」との戦い |
【フェーズ1】11月~:「紙」との戦い(書類の回収と確認)
年末調整の成否は、この準備段階で決まると言っても過言ではありません。必要な書類を、いかに正確に、早く集めるかが鍵です。
□ Task1:従業員に「扶養控除等(異動)申告書」を配布・回収する
これは、年末調整を行うすべての従業員から**絶対に回収しなければならない**最重要書類です。この書類がないと、扶養控除などが適用できず、従業員の税金が大幅に高くなってしまいます。来年分の書類もこのタイミングで一緒に配布・回収します。
□ Task2:対象者に「保険料控除申告書」「住宅ローン控除申告書」を配布・回収する
生命保険や地震保険に加入している従業員、住宅ローンを組んでいる従業員は、控除を受けるためにこれらの書類の提出が必要です。保険会社から送られてくる「控除証明書」の原本も、必ず添付してもらいます。
□ Task3:回収した書類のチェックと不備の修正依頼
これが最も時間のかかる作業です。「扶養家族の所得がオーバーしていないか」「保険料の計算は合っているか」「証明書の添付漏れはないか」などを一件一件チェックし、不備があれば従業員に差し戻します。
【フェーズ2】12月~:「計算」との戦い(年税額の確定と精算)
12月の最終給与が確定したら、いよいよ年税額の計算に入ります。
□ Task4:1年間の「総支給額」と「源泉徴収税額」を確定させる
12月(または1月)に支払う最後の給与・賞与の計算を完了させ、その従業員の「年間の総支給額」と「1年間に天引きした所得税の合計額」を確定させます。
□ Task5:各種控除額を計算し、「年税額」を算出する
フェーズ1で回収した申告書に基づき、配偶者控除、扶養控除、保険料控除などの「総控除額」を計算します。そして、総支給額から総控除額を引き、最終的にその人が納めるべき「年税額」を算出します。
□ Task6:過不足額の精算(還付・徴収)を行う
Task4で計算した「1年間に天引きした税額」と、Task5で計算した「本当に納めるべき年税額」を比較します。
・天引き額が多すぎた場合 → 差額を従業員に**「還付」**する
・天引き額が足りなかった場合 → 差額を従業員から**「徴収」**する
この精算を、通常は12月または1月の給与支払いに上乗せ・天引きする形で行います。
【フェーズ3】1月~:「期限」との戦い(書類の作成と提出)
年が明けたら、計算結果をまとめた各種書類を作成し、関係各所に提出します。ここには厳格な期限があります。
□ Task7:従業員に「源泉徴収票」を交付する
年税額の計算結果をまとめた「源泉徴収票」を作成し、全従業員に交付します(通常、1月の給与明細と一緒に渡します)。
□ Task8:【1月31日期限】税務署へ「法定調書合計表」などを提出する
源泉徴収票の内容などをまとめた「法定調書合計表」や、特定の従業員の「源泉徴収票」、税理士などへの報酬の「支払調書」などを税務署に提出します。
□ Task9:【1月31日期限】各市区町村へ「給与支払報告書」を提出する
「源泉徴収票」とほぼ同じ内容の「給与支払報告書」を作成し、従業員が住んでいる(1月1日時点)各市区町村に提出します。これは、翌年の住民税を計算するための重要な書類です。
【課題解決】この膨大な作業を、どう乗り切るか?
お分かりいただけたでしょうか。年末調整は、膨大な書類チェック、複雑な計算、そして厳格な期限との戦いです。このプロセスを手作業のExcelと紙で行うのは、担当者の数十時間(人件費換算で10万円以上)の工数を奪うだけでなく、計算ミスや法改正対応漏れによる税務リスクを常に抱えることになります。
この問題を解決するには、2つの合理的な選択肢しかありません。
解決策1:SaaSを導入し「自動化」する(推奨)
`freee人事労務`、`マネーフォワード クラウド給与`、`弥生給与 Next`といったクラウド給与計算ソフトは、この年末調整のプロセスを劇的に効率化するために設計されています。
- ペーパーレス化:従業員がスマホから「扶養控除申告書」や「保険料控除申告書」を入力・提出できます。書類の配布・回収・チェックの手間がゼロになります。
- 計算の自動化:従業員が入力した控除情報や、1年間の給与データに基づき、「年税額」と「過不足額」を**全自動で計算**します。計算ミスのリスクはゼロです。
- 帳票の自動作成:源泉徴収票、法定調書合計表、給与支払報告書といった面倒な提出書類も、ボタン一つで自動作成。e-TaxやeLTAXと連携し、電子申告までワンストップで完了します。
これらのSaaSは、月額数千円から導入可能です。たった一度の年末調整にかかる人件費コスト(10万円以上)を考えれば、その費用対効果は絶大です。
freee会計解決策2:専門家(税理士)に「丸投げ」する
「SaaSを導入する手間すら惜しい」「本業に100%集中したい」という経営者には、年末調整業務そのものを税理士にアウトソーシング(丸投げ)する選択肢もあります。
- メリット:上記の全プロセスを、税務のプロが代行してくれます。あなたは従業員に書類を配るだけで、法改正への対応や計算ミスへの不安から完全に解放されます。
- 探し方:`税理士ドットコム`のようなマッチングプラットフォームなら、「年末調整だけをお願いしたい」というスポット依頼にも対応してくれる税理士を、無料で見積もり比較できます。
まずはこの「やることリスト」を参考に、自社で対応できそうか、それともSaaSや専門家の力を借りるべきか、判断することから始めましょう。
税理士ドットコム年末調整の対象になるのは、どんな人ですか?
原則として、12月31日時点で会社に在籍し、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員全員が対象です。ただし、年収が2,000万円を超える人や、年の途中で退職した人などは対象外となります。
アルバイトやパートも年末調整は必要ですか?
はい、必要です。「扶養控除等申告書」を提出してもらっている限り、アルバイトやパートであっても、他の正社員と全く同じように年末調整を行う義務があります。
もし期限(1月31日)に間に合わなかったら、どうなりますか?
税務署や市区町村への提出が遅れると、ペナルティ(延滞税など)が課される可能性があります。また、従業員の住民税の計算が遅れ、会社にも従業員にも多大な迷惑がかかります。クラウドSaaSなどを活用し、必ず期限内に作業を完了させましょう。
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